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経済政策における、現実の問題に直面する困難さ [(通信教育)経済政策]

キプロスは大変なことになっています。ちょうど地元の図書館でユーロ危機の本を借りてきたところです。日本の財政問題や、ミクロ経済の本、ほかにも仕事の本(IT内部統制)も借りてきました。

週末は花見も行かずに統計学や、経済政策と格闘しています。
5年前だったか、書き換えになった新しい経済政策の教科書を初めて開いたとき、これはえらいことになったと思いました。
(書き換え前のテキストは薄かったので、そちらで履修しておけばよかったとそのときは思いました。)
「おおむね経済学の初歩的知識を一通り学んだ学部の学生を対象としている」(まえがき)とありますが、本書の内容は難易度的に私が今まで学んできた水準の経済学では到底歯が立たないことは一読してわかりました。
正直、「なにゆえに、こんな困難な課題を学生に課すのだろうか」と思ったこともありました。

しかし、ほどなくして、それはおかど違いな感情であると悟りました。

日本の難点 (幻冬舎新書)

日本の難点 (幻冬舎新書)

  • 作者: 宮台 真司
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2009/04
  • メディア: 新書


「本書に難解なところがあるとすれば、それは記述の難解さではなく、事柄の難解さによるものです。通読すれば眩暈がするでしょうが、それは圧倒的情報量による眩暈ではなく、<社会>の複雑さによる眩暈でしょう」(宮台真司 日本の難点 幻冬舎新書 2009年 p.285)
という宣言は、おそらく経済政策の教科書にも当てはまります。

「本書に難解なところがあるとすれば、それは対象である経済社会の複雑さによるものです。対象が複雑であるから、本書の記述も複雑になります。」ということになるのではないでしょうか。
この科目は経済専攻では必修であり、レポートと試験が合格しないことには卒業ができません。
これは、「卒業するからには、これくらいの問題解決能力は備えておきなさい」、という教える側のメッセージなのかもしれないと解釈しました。
「卒業したら、君たちはもっと難しい課題に直面することになるんだよ」と。

実際、私たちは、ちょっと考えただけでは答えの出ないような困難な状況に直面しています。
積みあがる財政赤字、少子化と高齢化、労働力不足、国内産業の空洞化、地方の過疎化と都市へのさらなる人口流入、血縁社会、地域社会の崩壊とその再構築、化石燃料資源の枯渇、円安による輸入資源価格の高騰、電力をどう調達すべきか、地球温暖化、原発のような制御不能なテクノロジーとの付き合い方、米軍基地の一部地域(沖縄)への偏在・・あげればきりがありません。
これらの課題に直面している私たちは、それらを解決するために知恵をしぼっていかなければならない。
戦後の高度成長期のように、官僚の描いたシナリオに乗って頑張ればうまく行く時代ではないのです。一人ひとりが、状況をみきわめるだけの十分な判断力をもって、自分が直面する課題と対峙しなければなりません。
教科書の問題には答えがありますが、現実の社会問題の最適解は誰にもわかりません。
政策を実施してみないとわからないという難しさがあります。おそらく実施すればこうなるという見込みは立てられるが、結果はわからない。社会科学の難しさです。
そう考えれば、明確な答えのある試験の問題は、いくらか解くのが楽だといえなくもない。
仮に試験問題で楽をしたところで、後で現実に直面したときに苦しむのは目に見えている。(現実逃避するという選択肢はあり得ますが)

とくに経済学の世界は、年々複雑になる世の中のを仕組みをよりよく説明するために多くの学者が新しい理論をあみ出しています。
たとえば40年前に大学で学んだ内容では今の最新の問題に対処できなくなっている可能性はあります。
(経済学の世界ではファイナンス理論などでこの傾向が顕著だと聞きました。)
私が繰り返し強調している、社会人の再教育の重要性はここにもあります。

話を経済政策に戻すと、何で今まで良くわからなかったかというと、それはミクロ経済学の基礎がおさえられていなかったから。ならば、マンガ「巨人の星」星飛雄馬の”大リーグボール養成ギプス”のように、自分の弱点を強化すればいい。
ということで、試験前に駆け足でミクロの論点を整理しています。
マイクロソフトのエクセルで二部料金制(公共経済学)のグラフを描いておさらいしている様子です。電力や電話のサービスなどで基本料と、従量料金にわかれているものを二部料金制と呼びます。
先週末から、エクセルの描画ツールと格闘して、各種のグラフを50個ぐらい描いたのではないでしょうか。
おかげさまでエクセルを使ったミクロ経済学のグラフ描きはかなり熟練しました(笑)。

立派なことを書いていますが、試験に通らないことには・・はぁ、
・・なんて落ち込んでいても仕方ないのでおさらいを続けます(笑)
nibu.JPG

さて土曜は、昼食は一人だったが、アンチョビの缶詰を買ってきて、キャベツとアンチョビのパスタにしてみました。仕上がりの写真がありませんが、アンチョビの味が塩辛のように効いてなかなか美味しく仕上がりました。
ancho.jpg 


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コメント 3

駅員3

キプロス問題は、一歩間違えれば大混乱を引き起こしかねないのではと危惧しています。
うまく問題解決してくれることを祈るばかりです。
by 駅員3 (2013-03-25 07:22) 

Silvermac

EUは理想だった、と思いますが、現実は、問題が多すぎますね。
by Silvermac (2013-03-25 09:52) 

Azumino_Kaku

ma2ma2 さん、
sugoimono さん、
YUTAじい さん、
tsun さん、
Silvermac さん、
charingo さん、
駅員3 さん、
なんだかなぁ横濱男です さん、
獏 さん、
ryo1216 さん、
tsworking さん、
くまら さん、
Ren さん、
GGI さん、

こんばんは、ご訪問ありがとうございます。

☆ 駅員3 さん、

たしかにせっかく収束しつつあるユーロ危機が再燃しかねないですね。
知恵をしぼってうまく落ち着けてほしいものです。



☆ Silvermac さん、

EUの政治統合、通貨統合は理念が先走って、まだまだ現実が追いついていないようですね。

しかしいまさら、元の状態に逆戻りするというのも考えにくく、このまま困難な道を乗り越えて前進するしかないのかと思っています。
by Azumino_Kaku (2013-03-25 22:13) 

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