イルミネーション(2) [信州の景色]
仕事納め、帰り道に大きな書店に行き、民法総論の参考文献を買う。
帰り道電車で広げていた新聞に労働法関連のニュースが目にとまった。
育児休業で降格と減給は違法と判決 東京高裁 (毎日新聞 2011年12月28日 東京本社朝刊18面)
育児休業による降格を違法と判断したのは初めてとのこと。
ちょうど、労働法の教科書など読んでいるところだったので、大変興味深く読みました。
先日、社会政策の参考文献で「子育て後進国・・」というのを読みました。
わが国は子育てに対する支援が手薄なのだと思います。
働く親たちは、おそらく職場で育児休業を取得するまでも大変だし、産休や育休を取った後のことを考えると、産むか、仕事を取るかの二者択一になってしまう、というのが一般的なのではないかと推察します。
私も経験がありますが、わが国では、子育ての間だけ働く時間を少なくして、子供が大きくなったら、戦線に復帰するというような柔軟な働き方が難しい。
職場で、育児時間がほしいといったところ、(カミサンを働かせなければならないほど)、君の稼ぎは良くないのか、(カミサンが)仕事をやめればすむことだ、と諭されたこともあります。
私は、男女(ジェンダー)で働き方に差別があるのはおかしいと思っていましたので、その考えにのっとって行動しただけです。
しかし一社員が社会の大きな流れに正面からぶつかったところでまったく勝ち目がありませんでした。
そんな風ですから、わが国では子育てのために、心ならずも仕事をあきらめなければならない人たちが多数いるのだと思います。
もしかすると、この判決はそんなわが国の状況に一石を投じるものになるのかもしれません。
熟練の労働者を子育ての最中もうまく支えながら、企業の戦力として保持できれば、社会的な損失は少なくてすむでしょう。
ベテラン社員が、職場を去ることによる損失ははかり知れません。
私も経験がありますが、社員が辞めることでノウハウが流出し、局所的に仕事の水準が低下しますし、何より社員の士気が下がるのが良くない。
「企業は人、社員が財産」などというセリフが、企業の広告宣伝で当たり前のように語られます。
社員がいなければ会社は回らない。
当たり前のことのように思えますが、では人材が財産のように扱われているかというと、それは疑問です。
その実態は、派遣労働の普及などにより、熟練よりも、コストの安さや扱いやすさが優先され、あたかも機械の消耗部品のように、働く人が扱われるような時代になっていないでしょうか。
20世紀の私たちは労働者が使い捨てライターのように使い捨てられる世の中を望んでいたのかといえば、そんなことはないはずです。
わが国の経済は高度経済成長の時期を過ぎ、低成長、成熟した社会に移行しつつあります。
かつて「モウレツからビューティフルへ」という宣伝がありました。
貧しさを克服するために猛烈に働く時代から、働く人の暮らしと労働を両立させワークライフバランスの取れた暮らしに移行すべきときなのでしょう。
経済一流、政治は二流などというせりふもありました。
そのたとえでいうと、企業の経営は一流、国民生活は三流ともいえます。
わが国がそんな汚名を返上して、真の豊かな国になれるかどうか。
バブル期以降、企業収支の帳尻あわせを人件費で行なってきたツケが少子化という形で現れてきているともいえる。
「少子化の進展→ 消費の低迷→需要の落ち込み」が、わが国の経済成長の足かせであることに、よもや経済界からも異論はないと思います。
因果関係をひも解いていくと、企業が短期的に帳尻を合わせようとすればするほど、長期的には結果として自らの首を締めることになっているようにも見えます。
写真は佐久のイルミネーションの続きからお届けします。
こんばんは。
「育児休業で降格と減給…」!!
驚きました。後進国であるブラジルでさえ考えられないことが
日本ではまかり通っていたのですね。
これをきっかけに仕事をする女性の労働環境が改善すればいいのですが…
今年はお世話になりました。
来年もよろしくお願いします。
良いお年をお迎えください。
by Loby (2011-12-29 05:47)
重い問題ですが、なかなか進展しませんね。
人として生まれてきて一番なにをしなければならないかと考えると、
それは次世代を育てることだと思うのです。
子を産み育てる・・・それが一番しなければならないことだと思います。
仕事と天秤を掛けることではないと思っています。
いろいろ考えさせられる記事をありがとうございました。
来年も楽しみにしています。
良いお年を。
by 斗夢 (2011-12-29 06:31)
日本の社会制度・慣習はまだまだ後進国並みなのでしょうね。
by Silvermac (2011-12-29 09:07)
いいだや さん、
マチャ さん、
お茶屋 さん、
JUN さん、
Silvermac さん、
斗夢 さん、
Loby さん、
こんばんは、
ご訪問ありがとうございます。
☆ Loby さん、
いえいえ、社会制度などの面でブラジルは日本の一歩先を歩んでいるのだと思います。
残念ながら、日本の労働現場の現実のようです。
育児休暇、産後休暇などの取得と、キャリアの両立は現実問題としてまだまだ難しいように思います。
今の日本の一般的な職場は、健康である程度若い社員が集まって作業をするように組まれており、障がいをもつ人、子育て中の親、介護者を抱える人、お年寄り、病み上がりの人などを受け入れるだけの懐の広さがないのかもしれません。
本年もお世話になりました。
来年もまたよろしくお願い申し上げます。
良いお年をお迎え下さい(^_^)
☆ 斗夢 さん、
私も同感です。次の世代を育てていくのは私たちこの世に生を受けたものの務めですね。
本年も大変お世話になりました。
よいお年をお迎え下さい。
☆ Silvermac さん、
おっしゃるとおりだと思います。
労働法の勉強などしていますと、働く者を取り巻く環境はまだまだ厳しいものがあると感じます。
by Azumino_Kaku (2011-12-29 20:54)