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本多勝一氏、「ルポルタージュの方法」から [日々つれづれ]

ルポルタージュの方法 (朝日文庫)

ルポルタージュの方法 (朝日文庫)

  • 作者: 本多 勝一
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞社出版局
  • 発売日: 1983/11
  • メディア: 文庫

 なんでまたこんな古い本を取り出してきたのでしょう。学生時代、ジャーナリストとしての本多さんへの憧憬の思いがあったのはたしかですが、なんでいまさら・・それは、今朝、ある一文を断片的に思い出したからです。

 本多氏は、高校二年の時に4日間かけて塩見岳(南アルプス)に登った時の様子を400字詰め原稿用紙に61枚にまとめ、夏休みの宿題として提出しました。それが氏にとっての「本当にはじめて書いた長文の報告」だそうです。
 そして、その登山記は宿題として課されていなくても書かれていたであろうと。理由を二つ挙げていますが、一つは初めて登った高山の世界があまりに感動的であったから。二つ目の理由は「登山の様子を父が詳しく聞きたがるのに対し、私は順序だててうまく話すことができず、めんどうなのでむしろ書いて読ませるほうがやりやすいことでした。」(本多勝一 ルポルタージュの方法、1983年 朝日新聞社 朝日文庫 pp.16-17)
  
 かたや、私は、この連休の過ごし方について、「家族が断片的に聞きたがるので、順序だてて、因果関係を明らかにしながら簡潔に書く」ことを主眼に簡単な報告をまとめようと思います。たとえば、ですが、知人を地元のなじみの飲食店に連れて行こうとして食べログか何かで調べて予約しようとしたら、予約でいっぱいで行けなかった。しかも場所も移転しており、駐車場もない・・・のようなたわいのない話をだらだらと話し続けても、話すほうも大変ですし、聞くほうもやりきれない。私にとっては重要(重大?)なことであっても聞き手にとってどうでもいい話かもしれない。報告書にまとまっていれば、読む側の都合で読み飛ばしもできるし、詳しく知りたければ追って書き手に聞けばいい。
 そんなことを考えて、ここ数日の連休での信州での日々をまとめています。私は本多氏の影響を強く受けていたようで、20代に登った山、学生時代にサイクリングで訪れた場所、夏休みにアルバイトで訪れた信州のこと、初めての個人海外旅行などもなんちゃってルポ風にまとめたものがノートやら原稿用紙やらに書きつけられたものがあります。仕事をリタイヤでもしてひまになったら(笑)、ぜひ電子化したいと思っています。それらの駄文はあくまで個人的な紀行だったり旅行記だったり(同じことですか・・笑)であって、本多氏のルポのような社会的価値があるとはとても思えないですし、他人が読んで面白い内容ではないと思いますが、私が自分自身で読み返すと、その時の様子が手に取るように思い出せる。本来、ルポは社会に問う文章なのでしょうが、個人的な記録もそれなりにまとめておくとあとで読んで興味深い内容になりうると改めて思った次第です。

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