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保谷・調布間にLRTを通すのはどうだろう [街づくり]

都道調布保谷線。写真は西東京市役所・保谷庁舎近くの様子。東京の西の郊外、住宅地の合間に農地が点在し、武蔵野の風情が色濃く残ります。

road.jpg

 近々青梅街道から北側、西武池袋線あたりまでが開通し、さらに全線が開通すると関越道練馬(大泉)インターから、中央道調布インターへのバイパスが通ることになります。ほぼ同じ区間を通る外郭環状道路については地下化が決まりましたが、それが通るのはかなり先のこと。
他方、この道路は立体交差もあるが基本は平面ですから、用地買収さえ済めばあっという間に開通します。
ということで、通過交通の利用者には利益があるかもしれないが、他方、クルマを利用しない沿線住民にとって利益はあまりない。
むしろ、生活道路が分断されたりという日常の不利益の方が上回る場合もあるでしょう。(その点は道路建設反対派の人が主張している通りだと思います)。
経済学で補償原理というのがあります。この場合、用地買収で立ち退く人には補償がされても、それ以外の住民に補償があるというのは聞いたことがありません。

私は前々からここにLRT(軽快路面電車)が通ったらどれだけ良いだろうと思っています。
高齢化の時代に、いまさら自動車用の高規格道路でもないだろうというのがその根拠です。
道路の真ん中にLRT、側道に自動車というのもいいでしょう。

下の写真は仏・ストラスブールのLRTの様子。出典: Human Transitのサイト http://www.humantransit.org/strasbourg/ より

低床(low floor)で乗り降りがしやすいのが特徴です。
LRT.JPG

東京の西北側には、都心方面から放射状にJR中央線、京王線、小田急線、西武線(新宿線、池袋線)、東武東上線などが走っています。
他方、南北の縦貫鉄道路線があまりありません。
都営大江戸線(山手通り、環七付近)、JR武蔵野線(国道16号線と環状8号の間)がありますが、その間の間隔が開きすぎています。
JR中央線と西武沿線の間を例にとると、吉祥寺→保谷、西荻窪→大泉学園、三鷹→西武柳沢、武蔵小金井→花小金井間などに路線バスが走っていますが、この地域は自動車の交通量が多く、バスの所要時間が長くなるために利便性は著しく低いのが実情です。
定時運行ができ、高齢者にも通勤通学者にも利便性が高い鉄道が通ればこの地域の利便性が上がります。

この本にも保谷-調布間のLRTの計画が紹介されています。(同書p.231)


またこの本では増田悦佐氏は、「志木→新座→保谷→東伏見→三鷹→調布」という鉄道路線のアイディアを紹介しています(p287)。

東京圏これから伸びる街―街を選べば会社も人生も変わる (講談社SOPHIA BOOKS)

東京圏これから伸びる街―街を選べば会社も人生も変わる (講談社SOPHIA BOOKS)

  • 作者: 増田 悦佐
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2002/02
  • メディア: 単行本



石原→猪瀬と都知事も変わりました。
猪瀬氏の街づくり哲学がどんなものかは存じませんが、石原氏のそれは
「ル・コルビュジェの現代都市は、高層建築を高速道路で支える・・」(海道清信 コンパクトシティの計画とデザイン 学芸出版社 2009年 p.67)
ようなものだったのだと思います。
新橋のシオサイト、六本木再開発などの手法をみればそれは明らかです。
しかし、その思想は高齢化社会とまったく親和性がなく、持続可能性も著しく低いといわざるを得ない。
1960年代ならいざ知らず、ここは高齢化の進む21世紀の日本なのです。
この沿線にもお年寄りが数多く暮らしており、高齢者向けの福祉施設などもあります。
住民が歳を取り体力が落ちたら運転免許を返上しなければならない、といっている端から、道路を拡張しようとする矛盾。
つまり、一言で言えば時代遅れということです。これは公共の政策として致命的ではないでしょうか。

おそらくことの真相は、この計画ではおそらく沿線住民のことなど考えておらず、まずはマクロ{全体}の計画ありきなのだと思います。渋滞解消のためには、この道路が必要なのだ!と力説する都の建設局の主張をどこかで読みました。しかしおそらく道路を増やすことで渋滞は解消しないと思われます。松下文洋氏は”新たな道路の完成は誘導交通を増やすだけに終わる。” 
また
”道路ができてクルマの利便性が上がると、鉄道などから自家用車へのモーダルシフトがおきて渋滞が激しくなる”。と主張しています。(松下文洋 道路の経済学 講談社 2005年 p.5 およびpp.141-142)

この調布保谷線は、石原氏の肝いりで推進されていたと聞きます。

知事も変わったところで、街づくりも変わるべきではないでしょうか。


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yanasan

車の街と言われています名古屋ですが、東京、大阪にも負けない様にと都市高速道路の建設計画が進んでおりますが、これから作られる路線の大半が2、30年前に計画された所ばかりですから、今の時代の需要に合わせて見直して欲しいのですが・・・・
by yanasan (2013-04-19 23:59) 

銀狼

自動車業界が斜陽の時代に入ってきて、
これからも台数は減少していくでしょうから、
道路をひたすら作るというのは確かに首を傾げてしまいますね。。。
by 銀狼 (2013-04-20 01:19) 

獏

LRT推進 賛成です^^)
路面電車の街 広島で育ちましたので
わかりますが あの利便性は抜群です(^m^)

by 獏 (2013-04-20 09:33) 

なんだかなぁ〜。横 濱男です。

道が広くなり、キレイになることはいいのですが、
沿道に済む人は、車の騒音と振動や事故塔の安全性の面で悩まされますね。


by なんだかなぁ〜。横 濱男です。 (2013-04-20 09:53) 

Silvermac

災害に強い道路計画が必要ですね。
by Silvermac (2013-04-20 09:58) 

さといも野郎

実家のある富山のLRTが成功し、全国から視察が訪れているようです。
地方都市であっても、便数を増やすことで、利便性が増し、
それによって利用者が増えたとのこと。
地面からの段差も少ないし、時間もバスより正確に運用できるようですので、これからの時代、東京に限らず需要は結構あるのではないかと思います。
by さといも野郎 (2013-04-20 14:09) 

Azumino_Kaku

gen さん、
sugoimono さん、
さといも野郎 さん、
Ren さん、
Silvermac さん、
なんだかなぁ横濱男です さん、
ma2ma2 さん、
獏 さん、
YUTAじい さん、
銀狼 さん、
ryo1216 さん、
いいだや さん、


こんばんは、ご訪問ありがとうございます。



☆ yanasan さん、

同感です、東京の道路も、計画されてから20-30年くらい経っているようです。
需要にあわせて見直すべきですよね。



☆ 銀狼 さん、

そうなんですよね。どう考えてもクルマの台数はどんどん減っていきますよね。

公的部門の債務も積みあがっていることですし、無駄な投資はやめるべきですよね(^_^)




☆ 獏 さん、

そうなんです、

私も感動しました。広島の市電の便利さ。

昨年7月にお好み村に行くとき、また12月には駅から大手町のオフィスまで利用しました。

長年培われた運営のノウハウはさすがだと感服しましたよ!



☆ なんだかなぁ横濱男です さん、

おっしゃるとおりです。
これだけの道路が通ると弊害も大きいですよね(@_@;)







☆ Silvermac さん、

そうですねー。
たしかに東京の災害対策は後手後手に回っていますものね^_^;



☆ さといも野郎 さん、

そうなんですよ。富山のLRT、そして市街地のコンパクト化、先進的な試みの成功事例として紹介されていますね(^_^)
LRTは21世紀の交通システムとして、各国で注目されているようですね(^_^)


by Azumino_Kaku (2013-04-20 22:20) 

K

おじゃまします

LRT、積極的な街づくりの一環としてできると良いですね^^。

オランダの車両のように自転車も積めるとなお良いように感じます^^/。


by K (2013-04-21 01:21) 

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